- トップページ >
- 歯科専門雑誌『アポロニア21』編集長によるコラム >
- Vol.05 歯科医院は危険なところ?
歯科専門雑誌『アポロニア21』編集長による コラム
Vol.05 歯科医院は危険なところ?
今回は、少し言いにくいお話をいたします。今年の春、都内のある歯科医院でインプラント治療を受けた患者さんが舌下動脈切断、舌根沈下による気道閉塞によってお亡くなりになりました。治療部位(下顎小臼歯部)を知った時、ハイリスクな場所ではあるものの、1本のみの治療であるため「死亡例にまでなってしまうのか」と驚きました。
言うまでもないことですが、歯科の分野でも医療事故は発生します。通常、人々は「歯では死なない」「歯科医院で死ぬことはない」と思っておられるようですが、そのような認識のまま歯科医院に通うのは危険です。もちろん、死亡例まで至るのは稀ですが、歯科治療に伴うリスクがなくなることはなく、近年、さらに増加傾向にあります。
例えば、特に注意すべきだと感じているのは、最近、「痛くなく」「簡単」「腫れもない」という簡単なインプラント治療法が急速に普及している点です。これらのインプラントを扱っているメーカーは、確かに「痛くない」「簡単」「腫れもない」ことは謳っていますが、安全であるとはひと言も言っていません。治療する歯科医師の技量によって差があるものの、これらの簡単なインプラントには重大なリスクがあります。インプラントは、本来外科手術ですから、切開して、目で確認するという工程が必要であるはずですが、その工程を意図的に外すことによって「痛くない」「簡単」「腫れもない」というベネフィットを実現しているインプラント体が増加傾向にあるのです。これだと、確認ができないため、CT画像に頼って手術することになりますが、CTも撮影しないでこれらのインプラント手術を行うのは、特に下顎の場合、非常に危険なことであると、最近になって指摘されるようになってきました。
医療の世界では、何かのベネフィットがあれば、必ずそこにはそれ相応のリスクが伴うものです。もし、「簡単なインプラント法がある」と紹介された場合、そのリスクと、それに対する歯科医師の対応について確認してみてください。十分に納得のいく説明がなかった場合には選択すべきではありません。
※お亡くなりになられた患者さんのご冥福をお祈り申し上げます。
月刊「アポロニア21」編集長の著作紹介
著作紹介:
現代につながる歯科医療の起源を歴史的に探ることによって、今後の歯科医療および、歯科医院経営の課題を明らかにします。
早稲田大学図書館が契約する電子ライブラリを通し、膨大な18世紀英国の歯科関連の書籍・広告を縦覧。「矯正、ホワイトニング、そして移植もすべて存在していた」「歯の病気で死ぬ時代があった」「補綴はデンティストリーではなかった」など、興味深い事実を証明する資料が多数掲載されています。
>>立ち読みはこちらから














