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歯科専門雑誌『アポロニア21』編集長による コラム
Vol.28 歯が再生される時代になったらー東京理科大学辻教授の研究
8月4日、東京理科大学の辻孝教授を中心とするグループによって開発された、健康に機能する歯の再生技術が米国の科学雑誌に掲載され、日本でも話題になりました。辻教授らの研究は、歯だけでなく、髪の毛、そして最終的には臓器を再生する技術の開発で、歯はその第一歩です。この研究には、東京医科歯科大学、東北大学など歯科関係の研究者の参加しており、今回の成果をもとに臨床応用の道筋を探ることになりそうです。
これまでも、歯の再生を目指した研究は各国で行われ、日本は、その先端を行くグループに位置づけられてきましたが、今回の研究は、患者から取り出した細胞から歯のもととなる歯胚を再生させ、これを生体内に移植して成長させることができることを実証したことで大きな意義があります。実験では、ネズミを使い、胎児から取り出した歯になる予定の細胞を大人のネズミの顎に埋めて成長させたもので、37日後には歯の先端が現れ、約50日で、完全にかみ合わせができ、矯正などもできる「本物の歯」ができました。今後の課題としては、すでに研究の最終的な段階にあるとされるiPS細胞などを材料とした本格的な再生技術の流れを構築することだとされています。
では、歯が再生される時代になったら、私たちの生活はどのようになるのでしょうか。今後、抜かなければならないような重症のむし歯は急速に減少すると見られています。仮にむし歯になっても、多くの場合、コンポジットレジンと呼ばれる樹脂材料を使って治療することができる技術がすでに確立されていますから、むし歯で再生治療のお世話になることはあまり考えられません。一方、歯周病は、まだまだ克服された病気とは言えませんから、歯周病によって失われた歯を再生技術によって取り戻すことが最も現実的でしょう。 ただ、「歯周病になっても、再生した歯を入れれば良いや」と、歯みがきしなくなる人が増えないことを祈っていますが…。
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