歯科専門雑誌『アポロニア21』編集長による コラム

Vol.25 知らないうちに海外製の義歯が

医師、歯科医師の全国的組織である全国保険医団体連合会(保団連)の患者322人に対するアンケート調査によると、入れ歯など歯科技工物の中で、中国など海外で作られた輸入品が増えている実態について、患者さんの9割近くが知らないと答えていることが明らかになりました。

歯科医師の中にも、海外製技工物の増加についてあまり知らない人も少なくありませんが、実際には、ファックスによるダイレクトメールなどが歯科医院に送られ、盛んに宣伝されていますから、今後、さらに海外製の義歯が歯科診療の現場で普及していくものと考えられます。厚生労働省も、患者さんの同意の上で、自費診療で用いられる場合には、海外製技工物の使用を認めています。

これに対して、患者さんの意識はどうでしょうか。「海外製であることを説明されれば同意するか」という問いに対して、「同意する」は9%にとどまり、73%は「同意しない」と答えています。海外製技工物は、あまり人気がないようですが、現実の海外製技工物の普及率は、9%をはるかに超えたものになっていると考えられています。つまり、患者さんの同意なしに、国内製よりも安価な中国製などの入れ歯が使用されている可能性があります。以前のメルマガでも書きましたが、入れ歯を入れる際に気になるのであれば、言いにくいかもしれませんが、「それは、どこの国で作られたものですか」と聞くことが必要ではないかと思われます。

難しいのは、歯科医師自身も海外製だと気付いていないケースが多いことです。入れ歯などになる前の中間製品の段階で空輸し、成田や関空などの近くにある工場で最終工程と検品を終えれば、それまでどこで作られたものであっても、「日本製」として流通することになります。これでは、歯科医師は、原産地を知ることができません。

ただし、これは、日本だけの特殊事例ではありません。例えば中国製の技工物は、欧米でも広く用いられています。現地での生産コストが高いため、中国から輸入したり、生産拠点を中国に移した欧米の歯科技工所も少なくありません。歯科医療に関連する市場が国際化していく中、これらの海外製品と、どのように関わるか。医療消費者の立場からも、将来像について前向きに考えていかなければならない時代に来ているのではないでしょうか。

アポロニア21編集長によるコラム

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