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歯科専門雑誌『アポロニア21』編集長による コラム
Vol.16「早期発見・早期治療」の問題点―いじってほしくないと思いませんか?
都市部ではあまり行われなくなっていますが、時々、歯科医師の団体が無料、もしくは一部負担で歯科検診を行うことがあります。最近、これらの検診に関わっている大学の先生から、「人々の反応があまりない」というお話を聞きました。
検診の主な目的は、早期発見、早期治療で、歯と歯肉の状態を確認して「悪いところ」を探すものであると考えられています。私は、これでは人が集まらないのも無理はないなと思います。
通常、歯科では、治療をしても「治す」ということができません。ほとんどの場合、歯を削ったり抜いたりして、そこに人工物(プラスチックやセラミックや金属を補うという置換処置が行われるわけで、そこから二次的な病気が発生するリスクも高くなります。これらは、長期的に見れば、むし歯や欠損を大きくしているに過ぎないとされています。このようなことのために、早めに発見して、早めに治療するのを望む人は少数派でしょう。
さらに、最近では、むし歯の早期発見・早期治療だけではなく、CTなどの最新機器を用いて、少しでも早めに歯を抜いてインプラントにした方が良いですよ、などとアナウンスする歯科医院も出てきましたが、そのように推奨すべき、確たる根拠が見当たらない上に、処置が非可逆的ですから、かなり危険です。
どうやら、歯科医師の中には、昔のクセなのか、「早期発見・早期治療主義」のようなものが見られるようです。しかし、実際には、積極的な治療をせずとも、経過観察によって対応できるケースが非常に多いことが知られています。「早期発見・早期治療主義」の結果、必要もない治療が行われる社会的リスクが高くなっていると言えるようです。
月刊「アポロニア21」編集長の著作紹介
著作紹介:
現代につながる歯科医療の起源を歴史的に探ることによって、今後の歯科医療および、歯科医院経営の課題を明らかにします。
早稲田大学図書館が契約する電子ライブラリを通し、膨大な18世紀英国の歯科関連の書籍・広告を縦覧。「矯正、ホワイトニング、そして移植もすべて存在していた」「歯の病気で死ぬ時代があった」「補綴はデンティストリーではなかった」など、興味深い事実を証明する資料が多数掲載されています。
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